子供が熱を出して苦しそうにしていると、すぐにでも医師に診てもらい、熱を下げてやりたいと思うのは親心で無理もありません。解熱する? 本当に薬で熱を下げることは子供の為になるのでしょうか? 熱の高さは必ずしも病気の重さと比例しません。 熱が高くても元気に遊んでいる子供もあれば、熱はそれほど高くないのに、ぐったりとして元気がないなどの経験はないでしょうか? 注意が必要なのは、ぐったりとして活力がない場合のことが多いのです

子供は生後数年間、一年に何度も風邪をひき、免疫力を高め、抵抗力がつき、強くなっていくものなのです。 風邪等の感染症による発熱は病気に対する抵抗力、すなわち免疫力を高める生体防御反応の一つであると言われております。 

それゆえ「かぜ」などに伴う発熱は、原則的に解熱剤は使わず、体の外から冷やし、水分を十分に与え、自己発汗により、熱を下げる方法が最近の考え方です

ただし、発熱時で最も注意しなければならないのは脱水症です。 発熱により不機嫌で、頭痛が強く、元気がない時や高熱で夜間の睡眠がとれない時などに限り、注意しながら服用または使用する場合もあります

厚生労働省の調査では、解熱鎮痛剤、特にサリチル酸系医薬品(アスピリン等)をインフルエンザや水痘症(水ぼうそう)の子供に服用させ「ライ症候群」という病気にかかる危険性が、より高まる事を指摘しています。 

ライ症候群とは脳の炎症と腫れ、急激な痙攣などを起こし、死にいたることもある病気です。 発症はまれですが、全国で年間数人が亡くなっています。 そこで厚生労働省では1998年12月から、15歳未満のインフルエンザや水痘症に罹患した子供には、これらを与えないよう求めています。 また、日本小児科学会でも2000年11月、インフルエンザに伴う発熱に対して使用する薬剤はアセトアミノフェンが適切で、アスピリンなどの非ステロイド系消炎剤の使用は慎重にすべきだ、という見解を公表しています。

安易な解熱剤の使用は子供にとって危険です。使用する際は必ず医師・薬剤師に相談する様、心がけましょう。

文責  扇橋薬局 薬局長 岩間 孝敏

医薬品は人体にとって非常に大切なものですが、飲み方・使い方を誤ると思わぬ副反応や副作用が起きることがあります。食後の医薬品を食前に飲んで副作用が発現したり、食前の医薬品を食後に飲んでしまい効果が著しく落ちてしまう場合もあります。患者さん一人一人の生活習慣・食生活に合わせた、医薬品の説明ができる薬局が良い薬局といえます。

また、最近では医薬品と食品との飲み合わせについてもマスコミで大きく取り上げられてきています。カルシウム拮抗薬と呼ばれる高血圧用薬の中にはグレープフルーツと飲み合わせの悪いものもあります。しかし、同じカルシウム拮抗薬でもこのような作用のない医薬品もあります。どうしてもクレープフルーツが好きで飲んだり、食べたりしたい人はこのような飲み合わせのない医薬品に変更することも、医師の同意を得ることで可能です。

このように、患者様にとって薬のことをどんなことでも相談でき、対応してくれる薬局が望ましいと思います。

             文責   扇橋薬局 薬局長  岩間 孝敏